巨大な四角いビルディングである。
窓という窓が残らずピッタリと閉め切ってあって、
その黒い、巨大な、四角い暗黒の一角に、黄色い、細い弦月が引っかかって、ジリ、ジリ、と沈みかかっている時刻である。
私はその暗黒の中心に在る宿直室のベッドの上に長くなって、隣室と境目の壁に頭を向けたまま、タッタ一人でスヤスヤと眠りかけている。
私は疲れている。考える力もないくらい
私の意識はグングンと
その時に壁
……壁一重向うの室にモウ一人の私が寝ているのだ。私の頭の方に頭を向けて、私の寝姿を鏡に映したように正反対の方向に足を伸ばしつつ、スヤスヤと睡りかけているのだ。
……その壁の向うの私も疲れている。考える力もないくらい
私はガバと跳ね起きた。眼がパッチリと醒めた。隣の室が
しかし私は
私はそう思い思い何秒か……もしくは何分間か、眼の前の
……と……そのうちに或る突然な決心が私に襲いかかった。その決心に蹴飛ばされたように私は、
……するとその途中で何かしら真黒い、人間のようなものと真正面から衝突したように思うと、二つの
巨大な深夜のビルディング全体が……アハ……アハ……アハ……と笑う声をハッキリと耳にしながら……。