雄心や花ふみにじりわか芽つみほゝゑむすべは知らずあらなむ
ふと行きてかへらぬ人よ掌をすべりて消えし玉ならなくに
身の秋にしのぶも悲し日陰草小さく咲きて散りし花はも
天つ世の魂の
思ひなゝあらそひもなき後の世は唯いとまあり眠る人のみ
つばさ破れ落ちしはやぶさやけ砂にうなじやかせて遠き空見る
うつくしき青葉の岡の殿づくり饑ゑし
花散りし胸の園生の垣ゆれて道行く人となりにける君
ますらをはつかれつゝみてよき妻のつかはれ人となりにけるはや
朝の風四里の麦生の波越えて多摩の川辺に人たづね行く
青空文庫の奥付