秋の木の葉がふるひ出す、
ものにおびへた
眼の色は、
たゞ
白びかり――何を見る。
ひら〳〵と
黄葉がちる、
彼れは何処へ?
真暗な、
谷へ
ほこらへ――あな消へた。
暗い森から
鳥が啼く、
あな
ほろ〳〵と、そこなりに………
ある触るる音よ、
暮るる日の
天と人とのなかを過ぐ。
食ひのこしたるパンの切れ、
ぢつとみつめば、涙ぐむ。
白髪頭のお
爺さん、
曲つた腰もかまはずに、
物識り顔に世を渡る。
前にあるのは何かいな、
後ろにゐるのは誰れかいな、
静かに
眼ひらき見よ!
前にあるのは白き家、
後ろにあるは、黒き影、
なかのお爺さんそを知らぬ。
空が焼けた、
真紅にやけた!
悪しき獣を
屠つたやうに………。
空の自然
□鏡なら、
人間道
悲惨な心、
写し
出した地獄
□か?