坂
末吉 安持
神無月
(
かみなづき
)
、日は
淡々
(
あは〳〵
)
と
夕ぐれの雲ににほへば、
眼路
(
めぢ
)
ひくき
彼方
(
かなた
)
に
薄
(
うす
)
れ
あはれなる
遠樹
(
えんじゆ
)
ぞ見ゆる。
畦
(
あぜ
)
をゆく
斑
(
まだら
)
の牛と
黄牛
(
あめうし
)
は声も
慵
(
ものう
)
く、
今は皆
刑
(
しおき
)
の
場
(
には
)
に
皮
剥
(
は
)
がれ紅く伏しなむ、
かく思ひ定めし如く
とぼとぼと霧にまぎれぬ。
素枯野
(
すがれの
)
のあなた、
沼尻
(
ぬじり
)
の、
荻
(
をぎ
)
すすき折れ伏す所、
ああ如何に
髑髏
(
どくろ
)
を洗ふ
冬の水音して落ちむ。
ひえひえと身に泌む寒さ、
われは今いづこ歩むや、
ふと思ふ、ああ人の世も
ここにして
終極
(
はて
)
にかあらむ。
下り坂をぐらくなりて
見るかぎり煙うづまく。
出典:青空文庫(
https://www.aozora.gr.jp/cards/001607/files/54512_64964.html
)
青空文庫の奥付
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩
」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年5月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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