文月のひと日
末吉 安持
黒檀
(
こくだん
)
のみどり
葉末
(
はずえ
)
に、
そよ風ながう
滑
(
すべ
)
りて、
自然
(
しぜん
)
の
魂塊
(
たましひ
)
藍
(
あゐ
)
に
薫
(
くゆ
)
りとぶ
真夏
(
まなつ
)
の
昼
(
ひる
)
。
金糸雀
(
かなりや
)
にうまゐ
醒
(
さ
)
めて、
夢の世に追ひわびたる、
やわらぎの
霊
(
れい
)
の
華
(
はな
)
を
いま
紫陽花
(
あぢさゐ
)
にみとめつ。
昨夜
(
よべ
)
詩
(
うた
)
に
寝
(
い
)
ね足らぬ
瞳
(
ひとみ
)
細
(
ほそ
)
ういと
細
(
ほそ
)
う、
わが世
永久
(
とは
)
にかゝらばと、
おもひ入る、あゝ夢心地。
この
刹那
(
せちな
)
のたましひを
黄金
(
おうこん
)
の
龕
(
づし
)
にひめて、
ひと日だにいつき得なば、
あゝ我ぞ詩のやさ
男神
(
をがみ
)
。
出典:青空文庫(
https://www.aozora.gr.jp/cards/001607/files/54504_65226.html
)
青空文庫の奥付
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩
」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年6月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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