別れ

森川 義信

別れの馬車の鈴の
つらい心をまたせめる
日暮峠でみかへれば
山が霞んで遠くなる

寒い夜風に町の灯が
悲しく遠くゆれてゐる
馬車の窓から故山ヤマ見れば
空にほんのりおぼろ月
(四・十二)



青空文庫の奥付



底本:「増補 森川義信詩集」国文社
   1991(平成3)年1月10日初版発行
初出:「ながれ」
   1935(昭和10)年4月、5月
入力:坂本真一
校正:フクポー
2020年9月28日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。