ふたりの
「どこの いぬだろうね。」
と、
「しらないけれど、いい いぬだね。」
と、たけおくんは いって、
すなおな せいしつと みえ、からだつきも のびのびと して、どこか りこうそうな かんじが しました。
「おや、くびわが ないね。」
と、
「おまえ、どこで おとして きたの、いぬころしに つかまるぞ。」
と、いぬに むかって いいました。
たけおくんも、それに
「すていぬじゃ ないかな。なんだか ようすが すこし さびしそうだ。」
と、まえに いぬを かった ことの ある けいけんから、いいました。
「なかなか よく しつけが して あるね。」
と いって、たけおくんも、かんしんしながら みました。
ちょうど そこへ、せんたくやの こぞうさんが、まわって きました。
「この いぬは、すていぬなんですよ。」
と いったので、ふたりは、いまさらのように おどろきました。
こぞうさんが いうのには、まえの しゅじんは、ひじょうに この いぬを かわいがって いたのを、とおくへ ひっこすので、じぶんの いえを ゆずる かわりに、いぬを だいじに かって くれる やくそくで、いまの
この はなしを きくと、ふたりは、
「それでは、じぶんが ころすかわりに、いぬころしに ころさせる つもりじゃ ないか。」
と ふんがいしました。
「ぼくたちが、たすけて やろうよ。うちに、ふるい かわの バンドが あるから、あれを きって、くびわを つくって やる。」
と、たけおくんは いいました。そして、いぬの せを なでながら、
「
と、
「どうぶつは、いつだって、しょうじきで、いつわるような ことは ないが、にんげんは、そんとくを かんがえて、うらぎる ことなんか へいきで いる。じつに はずかしい ことだと おもうよ。」
と、ためいきを ついたので ありました。