S今夜もモニコで飲み
派手な
一人で
おお、行く
赤い嵐がそよそよと
恋に
扇の
合せ鏡の
曲れる、曲れる、
生きて帰らぬ「夢」の塔。
二時を過ぎたる真夜中も、
土耳古、仏蘭西、
意気な
赤い
あれ、まんまろく拡がれば
時を択ばぬ花が咲き、
虹をば
そこの
ちょいと
見て見ぬ振のてれかくし、
此処のみじめな
とまどひしたか、

たとへ
わたしの膝にのしかかり、
どうして其れが
カスタネツトの降るままに、
吸ひつく様な、飛ぶ様な
とろける様な
(一九一二年三月七日の夜巴里にて)
S
青空文庫の奥付