暮れ方の窓
漢那 浪笛
常に夢見る
女
(
ひと
)
のすがた!
夕暮れ方、
しめやかな窓にしのんで来る。
なつかしい想ひは浪のやう…………。
みつむれば、
朦
(
おぼ
)
ろにかすみ、
ちかよれば、闇のなかにとろけて、
果ては見えなくなる。
物 消えし
後
(
あと
)
悲しいことよ!
どこかにすゝり泣きが消えた。
夫れは、
鬢
(
びん
)
のほつれにからんだ、
青い
火のこ
のやうだ
つひ、私は二つ 眼を掩ひ、
闇の窓にうつ伏した。
出典:青空文庫(
https://www.aozora.gr.jp/cards/001666/files/2043_61580.html
)
青空文庫の奥付
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩
」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「沖縄毎日新聞」
1911(明治44)年6月12日
※初出時の署名は「浪笛生」です。
※初出の新聞で作品名として扱われている「暮れ方の窓」を表題としました。
※表題は、底本では「南の友へ【三】」の見出しのもと、5字下げて2行取りの横罫の下に記載されています。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2017年4月3日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、
青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)
で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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