あやしき楽の音
漢那 浪笛
かつて、きゝし折りなき楽の音!
今宵、心にしのび入る。
絃
(
いと
)
はわななき震ひ、
果ては――蒼き涙にむせぶ。
眼に見ゑず、心にとまるメロディよ!
知らず、深き迷ひにいらしむ。
吾れはなつかしき
女
(
ひと
)
の声とや聞き、
底なき闇の中、メロディの消ゆる処へ
しづまむ。
出典:青空文庫(
https://www.aozora.gr.jp/cards/001666/files/2040_60900.html
)
青空文庫の奥付
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩
」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「沖縄毎日新聞」
1911(明治44)年6月2日
※初出時の署名は「浪笛生」です。
※初出の新聞で作品名として扱われている「あやしき楽の音」を表題としました。
※表題は、底本では「南の友へ【二】」の見出しの次の行に、5字下げて2行取りの横罫の下に記載されています。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2017年1月20日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、
青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)
で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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