海島冒険奇譚 海底軍艦

05 海島冒険奇譚 海底軍艦
押川 春浪



        はしがき
一。太平洋の波に浮べる、この船にも似たる我日本の國人は、今や徒らに、富士山の明麗なる風光にのみ恍惚たるべき時にはあらざるべし。
光譽ある桂の冠と、富と權力との優勝旗は、すでに陸を離れて、世界の海上に移されたり。
この冠を戴き、この優勝旗を握らむものは誰ぞ。
他なし、海の勇者なり。海の勇者は即ち世界の勇者たるべし。
一。天長節の佳日に際し
  子爵  伊東海軍大將
      肝付海軍少將
  伯爵  吉井海軍少佐
  子爵  小笠原海軍少佐
      上村海軍少佐
各位の清福を賀※[#変体仮名し、はしがき-14]、つたなき本書のために、題字及び序文を賜はりし高意にむかつて、誠實なる感謝の意を表す。
一。上村海軍少佐の懇切なる教示と、嚴密なる校閲とを受けたるは、啻に著者の幸福のみにはあらず、讀者諸君若し此書によりて、幾分にても、海上の智識を得らるゝあらば、そは全く少佐の賜なり。
一。遙かに、獨京伯林なる、巖谷小波先生の健勝を祈る。
著者※[#変体仮名し、はしがき-20]るす
[#改ページ]

(海島冐檢奇譚)海底軍艦目次
 第一回 海外かいぐわい日本人につぽんじん

青空文庫の奥付



底本:「海島冐檢奇譚 海底軍艦」名著復刻日本児童文学館、ほるぷ出版
   1975(昭和50)年10月発行
底本の親本:「海島冐劍奇譚 海底軍艦」文武堂
   1900(明治33)年11月15日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
※「変体仮名し」は、「志」をくずした形です。
※文中の「~~~~」は底本では繋がった波線です。
※「艦の15かく目の「一」が「丶」」は「デザイン差」と見て「艦」で入力しました。
※「覽の10かく目の「一」が「丶」」は「デザイン差」と見て「覽」で入力しまいた。
※ルビ抜けは底本通りにしました。
※底本には数多くの印刷不鮮明な箇所や誤植が疑われる箇所、仮名遣いの混在がありますが、底本通りとしました。
※なお「ゝ」「ヽ」「ゞ」「ヾ」は印刷不鮮明のため底本どおりではなく、「ゝゞ」はひらがな繰り返し記号、「ヽヾ」はカタカナ繰り返し記号として入力しました。
入力:H.KoBaYaShi
校正:川山隆
2008年6月2日作成
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