かの日の歌【三】
漢那 浪笛
温たかき玉は、君が手より、
すべり落ちぬ。
その玉は他人の手に握られ、
楽しき夢路をたどるなり。
あゝ君は淋しき人なり。
君はいや更に悲しめ!
もだへ、苦しむは君のさがなり。
ぬめらか
なる玉は、すべり安く、
ふしくれ
だちし手には、
あまりに痛ましく、たへがたく――
すべり落つるも、
ことわり
なり。
あゝ君は淋しき人なり。
君はいや更に悲しめ!
もだへ、苦しむは君のさがなり
出典:青空文庫(
https://www.aozora.gr.jp/cards/001666/files/1316_60487.html
)
青空文庫の奥付
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩
」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「琉球新報」
1911(明治44)年12月3日
※初出時の署名は「浪笛生」です。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年12月9日作成
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